理事長挨拶

理事長 水谷友紀 特定非営利活動法人がん臨床研究機構(以下、NPO-CORE)は、医師が中心となって行う「医師・研究者主導の臨床試験」に対する支援、がん臨床研究に関する情報提供、臨床研究に関する教育事業等の活動を通して、がん患者さんや一般市民の皆様に最新かつ最善の治療を提供し、一般市民の健康と福祉の増進に寄与することを目的として設立された特定非営利活動法人です。過去には、研究者自身がデータを収集・解析していた時代もありましたが、現在では、多くの業種がチームとして臨床研究に参画することが求められている時代です。本機構は、がん臨床研究を正しく安全に行うべく研究者をサポートしております。

本機構の具体的な業務は大きく5つの部門で行われています。データマネージメント部門は、収集されたデータを注意深くチェック・検討することで、臨床試験が正しく安全に行われるように努めています。システム部門は、データベースの構築や、コンピュータやネットワークの管理を行うことで、研究者の手間を少なく、かつ正確なデータを収集できるような工夫を続けております。オペレーション部門は、プロジェクトの管理、規制対応、広報、コミュニケーション支援を行い、臨床研究が品質を保持して遅滞なく遂行できるように努めています。品質保証部門は、研究の進捗確認、有害事象報告の審査、研究実施計画書の改訂審査、中間解析審査、研究結果公表審査の支援を行い、また施設訪問監査を実施することで臨床研究の品質管理・品質保証活動を続けています。総務部門は、その他の事務のマネジメントを行うことで、各部門が仕事に集中できるように注力し続けています。我々は、これら専門的な部門の総力をもって、臨床試験のサポートに努めています。

2006年のNPO-CORE設立以来、分子標的薬やがんゲノム医療の進歩によるがん治療の多様化、並びに臨床試験に適用される倫理指針の改正や臨床研究法の施行等により、臨床試験に対する要求レベルは加速度的に高まってきました。我々は、その都度、これまでに培ってきた専門知識と経験に加え、改善を重ねることで、研究者がその責務を果たせるよう柔軟に対応してきました。また、研究活動の中心となる医師とともに将来のがん臨床試験を担う医師や支援スタッフに対する教育・啓発活動にも取り組み、臨床試験の品質の維持・向上につなげようとしています。これらの活動は、がん臨床試験の発展に寄与するのみならず、我々自身の糧ともなり、安定的に研究者を支える力となっています。

我々NPO-COREスタッフは患者さんに直接接することはありません。しかし、我々の扱っているデータは患者さんに直接影響を与えるということを理解しています。だからこそ、臨床試験を正しく実施し、質の高いデータを提供するための努力を惜しみません。2020年4月より、設立当初より理事長を務められた下山正徳先生に代わり水谷友紀がNPO-COREの第二代目理事長を務めておりますが、前理事長から引き継ぎましたことを、さらに発展させ、今まで以上に質の高い臨床試験の支援等を行って参ります。今後ともNPO-COREへのご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。

2020年4月 理事長 水谷友紀